التوبة
At-Tawbah
The Repentance
1 - At-Tawbah (The Repentance) - 001
بَرَآءَةٞ مِّنَ ٱللَّهِ وَرَسُولِهِۦٓ إِلَى ٱلَّذِينَ عَٰهَدتُّم مِّنَ ٱلۡمُشۡرِكِينَ
(これは)シルク*の徒の内で、あなた方が協約を結んだ者たちに対する、アッラー*とその使徒*からの解除(通告)である。[1]
[1] この「解除」通告の原因は、預言者*率いるムスリム*軍がタブークの戦い*へと出征した際、偽信者*らが嘘の噂を広めたり、シルク*の徒らがアッラー*の使徒*と結んでいた協定を破棄したりしたことにあるとされる(アル=バガウィー2:314参照)。
2 - At-Tawbah (The Repentance) - 002
فَسِيحُواْ فِي ٱلۡأَرۡضِ أَرۡبَعَةَ أَشۡهُرٖ وَٱعۡلَمُوٓاْ أَنَّكُمۡ غَيۡرُ مُعۡجِزِي ٱللَّهِ وَأَنَّ ٱللَّهَ مُخۡزِي ٱلۡكَٰفِرِينَ
ゆえに(シルク*の徒よ、)あなた方は四ヶ月間、地上を(安全に)通行するがよい。そして、あなた方がアッラー*(の懲罰)から逃れることなど出来ない身であり、アッラー*は不信仰者*たちを(現世と来世で)辱められるお方であることを、知るのだ。[1]
[1] このアーヤ*が意図しているのは、当時ムスリム*たちとの協約において以下のような状態にあったシルク*の徒らである:①無期限の協約を結んでいた者たち、②期限が四ヶ月以下の協約を結んでいた者たち、③協約を結んでいたが、それを破った者たち(ムヤッサル187頁参照)。一方、四ヶ月以上の協約を結んでおり、裏切り行為も協約の違反もなかった者たちについては、アーヤ*4でその処遇が定められている(アッ=サァディー328頁参照)。
3 - At-Tawbah (The Repentance) - 003
وَأَذَٰنٞ مِّنَ ٱللَّهِ وَرَسُولِهِۦٓ إِلَى ٱلنَّاسِ يَوۡمَ ٱلۡحَجِّ ٱلۡأَكۡبَرِ أَنَّ ٱللَّهَ بَرِيٓءٞ مِّنَ ٱلۡمُشۡرِكِينَ وَرَسُولُهُۥۚ فَإِن تُبۡتُمۡ فَهُوَ خَيۡرٞ لَّكُمۡۖ وَإِن تَوَلَّيۡتُمۡ فَٱعۡلَمُوٓاْ أَنَّكُمۡ غَيۡرُ مُعۡجِزِي ٱللَّهِۗ وَبَشِّرِ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْ بِعَذَابٍ أَلِيمٍ
また(これは、)大いなるハッジ*の日における、アッラー*とその使徒*から人々への、「アッラー*とその使徒*は、シルク*の徒とは無縁である」という通告[1]である。もし(シルク*の徒よ)、あなた方が悔悟し(てシルク*を止め)たなら、それがあなた方にとってより善いこと。そしてもし(シルク*の放棄と信仰から)背を向けるのならば、自分たちがアッラー*(の懲罰)から逃れることなど、出来ない身であることを知るがよい。(使徒*よ、)不信仰に陥った者*たちに、痛烈な懲罰の吉報を告げてやる[2]のだ。
[1] 「大いなるハッジ*の日」とは、ズル=ヒッジャ月*十日のいわゆる「犠牲祭の日」のこと(ムヤッサル187頁参照)。預言者*は、アリー*をこれらのアーヤ*と共に巡礼*期のマッカ*へと派遣し、読誦による通告をさせた(アル=ブハーリー4655参照)。 [2] 「吉報を告げる」という言い回しについては、イムラーン家章21の訳注を参照。
4 - At-Tawbah (The Repentance) - 004
إِلَّا ٱلَّذِينَ عَٰهَدتُّم مِّنَ ٱلۡمُشۡرِكِينَ ثُمَّ لَمۡ يَنقُصُوكُمۡ شَيۡـٔٗا وَلَمۡ يُظَٰهِرُواْ عَلَيۡكُمۡ أَحَدٗا فَأَتِمُّوٓاْ إِلَيۡهِمۡ عَهۡدَهُمۡ إِلَىٰ مُدَّتِهِمۡۚ إِنَّ ٱللَّهَ يُحِبُّ ٱلۡمُتَّقِينَ
但しシルク*の徒の内、あなた方が協約を結んだ者たちで、それからあなた方(との協約)に対していかなる不備もなく、あなた方に(敵)対していかなる者も援助しなかった者たちは、別である。ならば彼らに対しては、彼らとの協約を、その期限まで全うせよ。本当にアッラー*は、身を慎む者[1]たちをお好みになるのだから。
[1] シルク*、裏切り、その他の罪から身を慎む者のこと(ムヤッサル187頁参照)。
5 - At-Tawbah (The Repentance) - 005
فَإِذَا ٱنسَلَخَ ٱلۡأَشۡهُرُ ٱلۡحُرُمُ فَٱقۡتُلُواْ ٱلۡمُشۡرِكِينَ حَيۡثُ وَجَدتُّمُوهُمۡ وَخُذُوهُمۡ وَٱحۡصُرُوهُمۡ وَٱقۡعُدُواْ لَهُمۡ كُلَّ مَرۡصَدٖۚ فَإِن تَابُواْ وَأَقَامُواْ ٱلصَّلَوٰةَ وَءَاتَوُاْ ٱلزَّكَوٰةَ فَخَلُّواْ سَبِيلَهُمۡۚ إِنَّ ٱللَّهَ غَفُورٞ رَّحِيمٞ
また、禁じられた(四ヶ)月[1]が終了したら、シルク*の徒をどこでも見つけた場所で殺すがよい[2]。そして彼らを捕まえ、彼らを阻み[3]、彼らのためにあらゆる見張り場所に待機せよ。それでもし彼らが(不信仰から)悔悟し、礼拝を遵守*して浄財*を支払ったならば、彼らを自由にしてやるがよい。本当にアッラー*は赦し深いお方、慈愛深い*お方なのだから。
[1] 大半の解釈学者によれば、ここでの「禁じられた月」とは「神聖月*」のことではなく、シルク*の徒との戦いが禁じられ、彼らの生命が保証された四ヶ月のこと(アル=カースイミー8:3072-3073参照)。 [2] 雌牛章190、アーヤ*36とその訳注も参照。 [3] 許可がない限り、ムスリム*の国に入ったり、そこで自由に振る舞ったりすることから阻むこと(アル=クルトゥビー8:73参照)。
6 - At-Tawbah (The Repentance) - 006
وَإِنۡ أَحَدٞ مِّنَ ٱلۡمُشۡرِكِينَ ٱسۡتَجَارَكَ فَأَجِرۡهُ حَتَّىٰ يَسۡمَعَ كَلَٰمَ ٱللَّهِ ثُمَّ أَبۡلِغۡهُ مَأۡمَنَهُۥۚ ذَٰلِكَ بِأَنَّهُمۡ قَوۡمٞ لَّا يَعۡلَمُونَ
また(使徒*よ、)シルク*の徒の誰かが、あなたに庇護を要請してきたら、彼がアッラー*の御言葉(クルアーン*)を耳にする(ことで、その導きを知ることが出来る)まで、彼を庇護してやるがよい[1]。それから彼を、彼にとって安全な場所まで送り届けてやれ。それというのも、彼らが(イスラーム*の実像を)知らない民であるからなのだ。
[1] たとえイスラーム*法統治国家と戦争中の状態にある国の者でも、文書などの配送、商売、調停・停戦の申し出、ジズヤ*の納付などの目的のため、入国・滞在許可をその統治者、またはその代理人に要請する者は、それを許可され、滞在中の安全を保障される(イブン・カスィール4:114参照)。
7 - At-Tawbah (The Repentance) - 007
كَيۡفَ يَكُونُ لِلۡمُشۡرِكِينَ عَهۡدٌ عِندَ ٱللَّهِ وَعِندَ رَسُولِهِۦٓ إِلَّا ٱلَّذِينَ عَٰهَدتُّمۡ عِندَ ٱلۡمَسۡجِدِ ٱلۡحَرَامِۖ فَمَا ٱسۡتَقَٰمُواْ لَكُمۡ فَٱسۡتَقِيمُواْ لَهُمۡۚ إِنَّ ٱللَّهَ يُحِبُّ ٱلۡمُتَّقِينَ
アッラー*の御許とその使徒*のもとで、どうしてシルク*の徒に対する協約などがあり得ようか?但し、ハラーム・マスジド*であなた方が協約[1]を結んだ者たちは、別である。彼らがあなた方(との協約の遵守)に忠実である限り、あなた方も彼ら(との協約の遵守)に忠実であれ。本当にアッラー*は、身を慎む者[2]たちをお好みになるのだから。
[1] この「協約」は、フダイビーヤの和議*のこと(ムヤッサル188頁参照)。 [2] 「身を慎むもの」については、アーヤ*4の訳注を参照。
8 - At-Tawbah (The Repentance) - 008
كَيۡفَ وَإِن يَظۡهَرُواْ عَلَيۡكُمۡ لَا يَرۡقُبُواْ فِيكُمۡ إِلّٗا وَلَا ذِمَّةٗۚ يُرۡضُونَكُم بِأَفۡوَٰهِهِمۡ وَتَأۡبَىٰ قُلُوبُهُمۡ وَأَكۡثَرُهُمۡ فَٰسِقُونَ
どうして(そのようなことが、あり得ようか)?もし彼ら(シルク*の徒)があなた方に対して優位に立てば、彼らはあなた方に関して血縁も契約も遵守しないというのに。彼らは口ではあなた方を喜ばせるが、その心は拒絶しているのであり、彼らの大半は放逸なのだ。
9 - At-Tawbah (The Repentance) - 009
ٱشۡتَرَوۡاْ بِـَٔايَٰتِ ٱللَّهِ ثَمَنٗا قَلِيلٗا فَصَدُّواْ عَن سَبِيلِهِۦٓۚ إِنَّهُمۡ سَآءَ مَا كَانُواْ يَعۡمَلُونَ
彼らはアッラー*の御徴と引き換えに僅かな代価を買い、(自分たちと人々を)かれの道から阻んだ。本当に彼らが行っていたことは、何と忌まわしいことか。
10 - At-Tawbah (The Repentance) - 010
لَا يَرۡقُبُونَ فِي مُؤۡمِنٍ إِلّٗا وَلَا ذِمَّةٗۚ وَأُوْلَـٰٓئِكَ هُمُ ٱلۡمُعۡتَدُونَ
彼らは信仰者に対し、血縁も契約も遵守しない。そしてそれらの者たちこそ、(契約の破棄において)度を越した者たちなのだ。
11 - At-Tawbah (The Repentance) - 011
فَإِن تَابُواْ وَأَقَامُواْ ٱلصَّلَوٰةَ وَءَاتَوُاْ ٱلزَّكَوٰةَ فَإِخۡوَٰنُكُمۡ فِي ٱلدِّينِۗ وَنُفَصِّلُ ٱلۡأٓيَٰتِ لِقَوۡمٖ يَعۡلَمُونَ
それで、もし彼らが(シルク*から)悔悟し、礼拝を遵守*し、浄財*を施したのであれば、(彼らは)宗教(イスラーム*)における、あなた方の同胞である。われら*は知識ある民に、御徴[1]を明らかにするのだ。
[1] この「御徴」は、アッラー*がご説明になる法規定のこと(アブー・ハイヤーン5:9参照)。
12 - At-Tawbah (The Repentance) - 012
وَإِن نَّكَثُوٓاْ أَيۡمَٰنَهُم مِّنۢ بَعۡدِ عَهۡدِهِمۡ وَطَعَنُواْ فِي دِينِكُمۡ فَقَٰتِلُوٓاْ أَئِمَّةَ ٱلۡكُفۡرِ إِنَّهُمۡ لَآ أَيۡمَٰنَ لَهُمۡ لَعَلَّهُمۡ يَنتَهُونَ
また、もし彼ら(シルク*の徒)がその協約後に確約を破り、あなた方の宗教(イスラーム*)を中傷したならば、不信仰の長たちと戦え。本当に、彼らには確約などないのだから。(それは)彼らが、(不信仰とイスラーム*への敵対を)止めるようにするためである。
13 - At-Tawbah (The Repentance) - 013
أَلَا تُقَٰتِلُونَ قَوۡمٗا نَّكَثُوٓاْ أَيۡمَٰنَهُمۡ وَهَمُّواْ بِإِخۡرَاجِ ٱلرَّسُولِ وَهُم بَدَءُوكُمۡ أَوَّلَ مَرَّةٍۚ أَتَخۡشَوۡنَهُمۡۚ فَٱللَّهُ أَحَقُّ أَن تَخۡشَوۡهُ إِن كُنتُم مُّؤۡمِنِينَ
一体あなた方は、自分たちの確約を破り、(マッカ*からの)使徒*の追放を意図し、あなた方に対して最初に仕掛けてきた[1]民と戦わないのか?一体あなた方は、彼らを怖れるのか?ならば、アッラー*の方が、より怖れるにふさわしいお方なのだ。もしあなた方が、信仰者であるというならば。
[1] バドルの戦い*で先に仕掛けてきた(戦利品*章47の訳注を参照)のは、あるいはフダイビーヤの和議*の破棄を最初に行ったのは、彼らの方である(イブン・カスィール4:117参照)。
14 - At-Tawbah (The Repentance) - 014
قَٰتِلُوهُمۡ يُعَذِّبۡهُمُ ٱللَّهُ بِأَيۡدِيكُمۡ وَيُخۡزِهِمۡ وَيَنصُرۡكُمۡ عَلَيۡهِمۡ وَيَشۡفِ صُدُورَ قَوۡمٖ مُّؤۡمِنِينَ
彼らと戦え。アッラー*はあなた方の手でもって彼らを罰され、彼らを辱められ、あなた方を彼らに勝利させて下さろう。そして信仰する民[1]の胸(の悲しみ)を、癒して下さるのだ。
[1] シルク*の徒からの迫害を蒙(こうむ)ってきたムスリム*のこと。あるいはフダイビーヤの和議*の後、彼らの協約違反によって憂き目を見た、アッラー*の使徒*の同盟部族フザーアのこと(アッ=タバリー5:3949参照)。
15 - At-Tawbah (The Repentance) - 015
وَيُذۡهِبۡ غَيۡظَ قُلُوبِهِمۡۗ وَيَتُوبُ ٱللَّهُ عَلَىٰ مَن يَشَآءُۗ وَٱللَّهُ عَلِيمٌ حَكِيمٌ
また、彼らの心の憤りを解消して下さろう。アッラー*はかれがお望みになる者の悔悟を、お受け入れになる。アッラー*は全知者、英知あふれる*お方。
16 - At-Tawbah (The Repentance) - 016
أَمۡ حَسِبۡتُمۡ أَن تُتۡرَكُواْ وَلَمَّا يَعۡلَمِ ٱللَّهُ ٱلَّذِينَ جَٰهَدُواْ مِنكُمۡ وَلَمۡ يَتَّخِذُواْ مِن دُونِ ٱللَّهِ وَلَا رَسُولِهِۦ وَلَا ٱلۡمُؤۡمِنِينَ وَلِيجَةٗۚ وَٱللَّهُ خَبِيرُۢ بِمَا تَعۡمَلُونَ
いや、一体あなた方は、(試練[1]から)放免されるとでも思い込んでいたのか?アッラー*はあなた方の内で、アッラー*とその使徒*と信仰者たち以外を腹心とすることなく努力奮闘した者たちを、まだ如実に表されてはいないというのに。アッラー*は、あなた方の行なうこと(全て)に通暁されているお方。
[1] 「試練」については、雌牛章214、イムラーン家章142、154,179、蜘蛛章2とその訳注、ムハンマド*章31、王権章2とその訳注も参照。
17 - At-Tawbah (The Repentance) - 017
مَا كَانَ لِلۡمُشۡرِكِينَ أَن يَعۡمُرُواْ مَسَٰجِدَ ٱللَّهِ شَٰهِدِينَ عَلَىٰٓ أَنفُسِهِم بِٱلۡكُفۡرِۚ أُوْلَـٰٓئِكَ حَبِطَتۡ أَعۡمَٰلُهُمۡ وَفِي ٱلنَّارِ هُمۡ خَٰلِدُونَ
自らに対して不信仰を証言していながら、シルク*の徒がアッラー*のマスジド*を管理することなど、あってはならない。そのような者たちは、その行いが台無しになるのである。そして彼らはまさしく業火の中に、永遠に留まることになるのだ。
18 - At-Tawbah (The Repentance) - 018
إِنَّمَا يَعۡمُرُ مَسَٰجِدَ ٱللَّهِ مَنۡ ءَامَنَ بِٱللَّهِ وَٱلۡيَوۡمِ ٱلۡأٓخِرِ وَأَقَامَ ٱلصَّلَوٰةَ وَءَاتَى ٱلزَّكَوٰةَ وَلَمۡ يَخۡشَ إِلَّا ٱللَّهَۖ فَعَسَىٰٓ أُوْلَـٰٓئِكَ أَن يَكُونُواْ مِنَ ٱلۡمُهۡتَدِينَ
アッラー*のマスジド*を管理するのは、アッラー*と最後の日*を信じ、礼拝を遵守*して浄財*を支払い、アッラー*以外の何も怖れない者のみ。そしてそれらの者たちは恐らく、導かれた者の類いとなろう。
19 - At-Tawbah (The Repentance) - 019
۞أَجَعَلۡتُمۡ سِقَايَةَ ٱلۡحَآجِّ وَعِمَارَةَ ٱلۡمَسۡجِدِ ٱلۡحَرَامِ كَمَنۡ ءَامَنَ بِٱللَّهِ وَٱلۡيَوۡمِ ٱلۡأٓخِرِ وَجَٰهَدَ فِي سَبِيلِ ٱللَّهِۚ لَا يَسۡتَوُۥنَ عِندَ ٱللَّهِۗ وَٱللَّهُ لَا يَهۡدِي ٱلۡقَوۡمَ ٱلظَّـٰلِمِينَ
(我が民よ、)一体あなた方は、ハッジ*の給水とハラーム・マスジド*の管理(に従事する者)を、アッラー*と最後の日*を信仰し、アッラー*の道において努力奮闘する者と同様にするのか?彼らはアッラー*の御許で、同等ではない[1]。アッラー*は不正*者である民を、お導きにはならないのだ。
[1] ある種のシルク*の徒は、マッカ*におけるそれらの高貴な任務が最善の行いであるとし、ある種のムスリム*は、信仰とアッラー*の道における奮闘こそが最善の行いであると主張して、議論した。このアーヤ*は、後者の主張を確証すべく下ったのだという(アッ=サァディー331頁参照)。
20 - At-Tawbah (The Repentance) - 020
ٱلَّذِينَ ءَامَنُواْ وَهَاجَرُواْ وَجَٰهَدُواْ فِي سَبِيلِ ٱللَّهِ بِأَمۡوَٰلِهِمۡ وَأَنفُسِهِمۡ أَعۡظَمُ دَرَجَةً عِندَ ٱللَّهِۚ وَأُوْلَـٰٓئِكَ هُمُ ٱلۡفَآئِزُونَ
信仰して移住*し、自らの財産と生命をかけてアッラー*の道に努力奮闘する者は、アッラー*の御許において、より位が偉大なのである。そして、そのような者たちこそが勝利者なのだ。
21 - At-Tawbah (The Repentance) - 021
يُبَشِّرُهُمۡ رَبُّهُم بِرَحۡمَةٖ مِّنۡهُ وَرِضۡوَٰنٖ وَجَنَّـٰتٖ لَّهُمۡ فِيهَا نَعِيمٞ مُّقِيمٌ
彼らの主*は彼らに、その御許からのご慈悲とご満足、楽園の吉報をお告げになる。そこ(楽園)には彼らのため、永遠の安寧があるのだ。
22 - At-Tawbah (The Repentance) - 022
خَٰلِدِينَ فِيهَآ أَبَدًاۚ إِنَّ ٱللَّهَ عِندَهُۥٓ أَجۡرٌ عَظِيمٞ
彼らはそこに、ずっと永遠に留まる。本当にアッラー*、かれの御許には、この上ない褒美がある。
23 - At-Tawbah (The Repentance) - 023
يَـٰٓأَيُّهَا ٱلَّذِينَ ءَامَنُواْ لَا تَتَّخِذُوٓاْ ءَابَآءَكُمۡ وَإِخۡوَٰنَكُمۡ أَوۡلِيَآءَ إِنِ ٱسۡتَحَبُّواْ ٱلۡكُفۡرَ عَلَى ٱلۡإِيمَٰنِۚ وَمَن يَتَوَلَّهُم مِّنكُمۡ فَأُوْلَـٰٓئِكَ هُمُ ٱلظَّـٰلِمُونَ
信仰する者たちよ、自分たちの親や兄弟を盟友としてはならない、もし彼らが信仰よりも不信仰を好む[1]のならば。そして、あなた方の内で彼らを盟友とする者があれば、そのような者たちこそは不正*者なのである。[2]
[1] 具体的には、イスラーム*に敵対する不信仰者*に対し、ムスリム*たちの秘密を明かしたり、彼らにムスリム*たちにとっての重要な事柄を相談したりすること(ムヤッサル190頁参照)。 [2] 最も近しい間柄でさえそうなのだから、それ以下の関係にある者たちであれば、尚更である(アッ=サァディー332頁参照)。イムラーン家章28の訳注も参照。
24 - At-Tawbah (The Repentance) - 024
قُلۡ إِن كَانَ ءَابَآؤُكُمۡ وَأَبۡنَآؤُكُمۡ وَإِخۡوَٰنُكُمۡ وَأَزۡوَٰجُكُمۡ وَعَشِيرَتُكُمۡ وَأَمۡوَٰلٌ ٱقۡتَرَفۡتُمُوهَا وَتِجَٰرَةٞ تَخۡشَوۡنَ كَسَادَهَا وَمَسَٰكِنُ تَرۡضَوۡنَهَآ أَحَبَّ إِلَيۡكُم مِّنَ ٱللَّهِ وَرَسُولِهِۦ وَجِهَادٖ فِي سَبِيلِهِۦ فَتَرَبَّصُواْ حَتَّىٰ يَأۡتِيَ ٱللَّهُ بِأَمۡرِهِۦۗ وَٱللَّهُ لَا يَهۡدِي ٱلۡقَوۡمَ ٱلۡفَٰسِقِينَ
(使徒*よ、)言ってやるがいい。「あなた方の親、あなた方の子供、あなた方の兄弟、あなた方の配偶者、あなた方の近親、あなた方の稼いだ財産、また、あなた方がその不振を怖れている商売、あなた方が満足する住まいが、アッラー*とその使徒*、そしてかれの道における努力奮闘よりもあなた方にとって好ましいならば、アッラー*がそのご命令[1]をもたらされるまで待つがよい。アッラー*は、放逸な民をお導きにはならないのだ」。
[1] アッラー*の懲罰という「ご命令」のこと(ムヤッサル190頁参照)。
25 - At-Tawbah (The Repentance) - 025
لَقَدۡ نَصَرَكُمُ ٱللَّهُ فِي مَوَاطِنَ كَثِيرَةٖ وَيَوۡمَ حُنَيۡنٍ إِذۡ أَعۡجَبَتۡكُمۡ كَثۡرَتُكُمۡ فَلَمۡ تُغۡنِ عَنكُمۡ شَيۡـٔٗا وَضَاقَتۡ عَلَيۡكُمُ ٱلۡأَرۡضُ بِمَا رَحُبَتۡ ثُمَّ وَلَّيۡتُم مُّدۡبِرِينَ
(信仰者たちよ、)アッラー*は確かに、多くの場面であなた方をお助けになった[1]。また自分たちの多勢ぶりが、あなた方を悦に入らせたフナイン*の日も(、同様であった)。そしてそれはあなた方の何の役にも立たず、大地はその広さにも関わらずあなた方にとって狭くなり[2]、更にあなた方は背を見せて敗走したのである。
[1] そしてそれは、ムスリム*たちが成功に必要な手はずを整(ととの)え、かつアッラー*に全てを委ねた時であった(前掲書、同頁参照)。 [2] 広い大地が、狭く感じられるほどの苦境や困難を表している(アブー・ハイヤーン5:25参照)。
26 - At-Tawbah (The Repentance) - 026
ثُمَّ أَنزَلَ ٱللَّهُ سَكِينَتَهُۥ عَلَىٰ رَسُولِهِۦ وَعَلَى ٱلۡمُؤۡمِنِينَ وَأَنزَلَ جُنُودٗا لَّمۡ تَرَوۡهَا وَعَذَّبَ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْۚ وَذَٰلِكَ جَزَآءُ ٱلۡكَٰفِرِينَ
それからアッラー*は、その使徒*と信仰者たちに(彼らを堅固にすべく、)かれの静寂をお下しになり、あなた方の目には見えなかった軍勢[1]を下され、不信仰だった者*たちを罰された。それが不信仰者*たちへの報いなのだから。
[1] この「軍勢」とは、天使*たちのことである、と言われる(ムヤッサル190頁参照)。
27 - At-Tawbah (The Repentance) - 027
ثُمَّ يَتُوبُ ٱللَّهُ مِنۢ بَعۡدِ ذَٰلِكَ عَلَىٰ مَن يَشَآءُۗ وَٱللَّهُ غَفُورٞ رَّحِيمٞ
そしてその後アッラー*は、かれがお望みになる者の悔悟[1]をお受け入れになる。アッラー*は、赦し深いお方、慈愛深い*お方。
[1] 不信仰を棄(す)て、イスラーム*を受け入れた者の「悔悟」のこと(前掲書191頁参照)。
28 - At-Tawbah (The Repentance) - 028
يَـٰٓأَيُّهَا ٱلَّذِينَ ءَامَنُوٓاْ إِنَّمَا ٱلۡمُشۡرِكُونَ نَجَسٞ فَلَا يَقۡرَبُواْ ٱلۡمَسۡجِدَ ٱلۡحَرَامَ بَعۡدَ عَامِهِمۡ هَٰذَاۚ وَإِنۡ خِفۡتُمۡ عَيۡلَةٗ فَسَوۡفَ يُغۡنِيكُمُ ٱللَّهُ مِن فَضۡلِهِۦٓ إِن شَآءَۚ إِنَّ ٱللَّهَ عَلِيمٌ حَكِيمٞ
信仰する者たちよ、シルク*の徒こそは不浄[1]である。ゆえに今年[2]以降、彼らはハラーム・マスジド*[3]に近付いてはならない。そして、もしあなた方が困窮を怖れるのであっても、やがてアッラー*がそのご恩寵でーーかれがお望みならーー、あなた方を豊かにしてくれよう[4]。本当にアッラー*は、全知者、英知あふれる*お方なのだから。
[1] 大多数の学者は、この「不浄さ」を物質的・本質的なものではなく、「信仰的な不浄さ」としている(イブン・カスィール4:131参照)。 [2] アリー*がマッカ*でこの禁止通告を行った、ヒジュラ暦*9年のこと(ムヤッサル191頁参照)。アーヤ*3の訳注も参照)。 [3] この「マスジド・ハラーム*」は、マッカ*の聖域のこととされる(前掲書191頁参照)。 [4] イスラーム*到来以前にも、アラビア半島のシルク*の徒にはマッカ*巡礼*・訪問の慣習があり、そのことはマッカ*の物質的繁栄に大きく貢献していた。それゆえアッラー*からこのご命令が下った時、マッカ*の民のある者たちは、自分たちの大きな収入源が消失してしまうことを怖れたのだという(アッ=タバリー5:3965参照)。
29 - At-Tawbah (The Repentance) - 029
قَٰتِلُواْ ٱلَّذِينَ لَا يُؤۡمِنُونَ بِٱللَّهِ وَلَا بِٱلۡيَوۡمِ ٱلۡأٓخِرِ وَلَا يُحَرِّمُونَ مَا حَرَّمَ ٱللَّهُ وَرَسُولُهُۥ وَلَا يَدِينُونَ دِينَ ٱلۡحَقِّ مِنَ ٱلَّذِينَ أُوتُواْ ٱلۡكِتَٰبَ حَتَّىٰ يُعۡطُواْ ٱلۡجِزۡيَةَ عَن يَدٖ وَهُمۡ صَٰغِرُونَ
(ムスリム*たちよ、)啓典を授けられた者*たちの内、アッラー*と最後の日*を信仰せず、アッラー*とその使徒*が禁じた物事を禁じもせず、真理の宗教に従わない者たちと、彼らが、すごすごとシズヤ*を手渡しで払うまで戦うのだ。[1]
[1] イスラーム*の勝利がアラビア半島で確実なものとなった時、近隣諸国のキリスト教徒*たちは危機感を強めた。ローマ帝国は、シャーム地方(現在のシリア、パレスチナ周辺地域)を治めさせていたガッサーン族のキリスト教徒*を介し、対ムスリム*の戦争準備を始める(イブン・アーシュール10:162参照)。そしてヒジュラ暦*9年にこのアーヤ*が下ったことにより、ムスリム*たちはシャーム地方に近接するタブーク*へと出征したとされる(イブン・カスィール4:132参照)が、この前年にはガッサーン族が預言者*の使節を殺害したことが原因で、ムウタの戦い*が起きている(ムバーラクフーリー387参照)。
30 - At-Tawbah (The Repentance) - 030
وَقَالَتِ ٱلۡيَهُودُ عُزَيۡرٌ ٱبۡنُ ٱللَّهِ وَقَالَتِ ٱلنَّصَٰرَى ٱلۡمَسِيحُ ٱبۡنُ ٱللَّهِۖ ذَٰلِكَ قَوۡلُهُم بِأَفۡوَٰهِهِمۡۖ يُضَٰهِـُٔونَ قَوۡلَ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْ مِن قَبۡلُۚ قَٰتَلَهُمُ ٱللَّهُۖ أَنَّىٰ يُؤۡفَكُونَ
ユダヤ教徒*は言った。「ウザイル[1]はアッラー*の御子である」。また、キリスト教徒*は言った。「マスィーフ*(イーサー*)はアッラー*の御子である」。それは(彼ら)以前の不信仰だった者*たちの言葉に似た、口先だけの彼らの言葉である。アッラー*が彼らを成敗してくださいますよう。彼らはどうして、(真理から)背かされるのか?
[1] 「ウザイル」は、一説には旧約聖書の「エズラ」のこと(イブン・アーシュール10:167-168)。
31 - At-Tawbah (The Repentance) - 031
ٱتَّخَذُوٓاْ أَحۡبَارَهُمۡ وَرُهۡبَٰنَهُمۡ أَرۡبَابٗا مِّن دُونِ ٱللَّهِ وَٱلۡمَسِيحَ ٱبۡنَ مَرۡيَمَ وَمَآ أُمِرُوٓاْ إِلَّا لِيَعۡبُدُوٓاْ إِلَٰهٗا وَٰحِدٗاۖ لَّآ إِلَٰهَ إِلَّا هُوَۚ سُبۡحَٰنَهُۥ عَمَّا يُشۡرِكُونَ
彼ら(啓典の民*)はアッラー*を差しおいて、彼らの学者や修道僧たちを、彼らの主*としたのだ。また、マルヤム*の子マスィーフ*も(主とした)[1]。彼らは、唯一の神(アッラー*)のみを崇拝*することしか、命じられてはいなかったというのに。かれ以外に、(真に)崇拝*すべきものなど存在しない。彼らがシルク*を犯しているものから(無縁な)、アッラー*に称え*あれ。
[1] 学者や修道僧を「主として選ぶ」とは、アッラー*が定める法をそっちのけにし、彼らが定める法に従うこと。イーサー*については、彼に神性を認め、崇拝*の対象としたこと(ムヤッサル191頁参照)。
32 - At-Tawbah (The Repentance) - 032
يُرِيدُونَ أَن يُطۡفِـُٔواْ نُورَ ٱللَّهِ بِأَفۡوَٰهِهِمۡ وَيَأۡبَى ٱللَّهُ إِلَّآ أَن يُتِمَّ نُورَهُۥ وَلَوۡ كَرِهَ ٱلۡكَٰفِرُونَ
彼らは、その口先でアッラー*の御光[1]を消してしまおうと望んでいる。そしてアッラー*は、その御光を完遂させずにはおかれない。たとえ不信仰者*たちが、(それを)嫌おうとも(、である)。
[1] この「御光」とは、イスラーム*、そしてアッラーの唯一性*を示す証拠のこと(前掲書192頁参照)。
33 - At-Tawbah (The Repentance) - 033
هُوَ ٱلَّذِيٓ أَرۡسَلَ رَسُولَهُۥ بِٱلۡهُدَىٰ وَدِينِ ٱلۡحَقِّ لِيُظۡهِرَهُۥ عَلَى ٱلدِّينِ كُلِّهِۦ وَلَوۡ كَرِهَ ٱلۡمُشۡرِكُونَ
かれは、その使徒*を導きと真理の宗教(イスラーム*)と共に遣わされたお方。(それは)かれが、それ(イスラーム*)をあらゆる宗教の上に君臨させる[1]ため。たとえ、シルク*の徒が(そのことを)嫌おうとも(、なのだ)。
[1] つまりイスラーム*はあらゆる宗教を撤廃(てっぱい)し、唯一の宗教となる。あるいは、他宗教の信徒を落ちぶらせる(アル=バイダーウィー3:142参照)。
34 - At-Tawbah (The Repentance) - 034
۞يَـٰٓأَيُّهَا ٱلَّذِينَ ءَامَنُوٓاْ إِنَّ كَثِيرٗا مِّنَ ٱلۡأَحۡبَارِ وَٱلرُّهۡبَانِ لَيَأۡكُلُونَ أَمۡوَٰلَ ٱلنَّاسِ بِٱلۡبَٰطِلِ وَيَصُدُّونَ عَن سَبِيلِ ٱللَّهِۗ وَٱلَّذِينَ يَكۡنِزُونَ ٱلذَّهَبَ وَٱلۡفِضَّةَ وَلَا يُنفِقُونَهَا فِي سَبِيلِ ٱللَّهِ فَبَشِّرۡهُم بِعَذَابٍ أَلِيمٖ
信仰する者たちよ、本当に(啓典の民*の内の)多くの学者や修道僧たちは、まさに人々の財産を偽って貪り、(自分たちと人々を)アッラー*の道から阻んでいる。そして金銀を貯め込み、それをアッラー*の道において施すことのない者たち[1]、彼らには(使徒*よ、)痛ましい懲罰の吉報を告げる[2]がよい。
[1] 教友*アブー・ザッル*によれば、これは啓典の民*の不信仰者*だけではなく、浄財*の義務を果たさないムスリム*のことも含んでいる(アル=ブハーリー1406、4660参照)。 [2] 「懲罰の吉報を告げる」という言い回しについては、イムラーン家章21の訳注を参照。
35 - At-Tawbah (The Repentance) - 035
يَوۡمَ يُحۡمَىٰ عَلَيۡهَا فِي نَارِ جَهَنَّمَ فَتُكۡوَىٰ بِهَا جِبَاهُهُمۡ وَجُنُوبُهُمۡ وَظُهُورُهُمۡۖ هَٰذَا مَا كَنَزۡتُمۡ لِأَنفُسِكُمۡ فَذُوقُواْ مَا كُنتُمۡ تَكۡنِزُونَ
それら(の金銀)が地獄の業火の中で熱せられ、彼らの額と脇腹と背中がそれで焼き付けられる(復活の)日*。(彼らには、こう言われる。)「これが、お前たちが自分たちのために貯め込んでいた物である。ならばお前たちは、自分たちが貯め込んでいた物(ゆえの罰)を味わうがよい」。
36 - At-Tawbah (The Repentance) - 036
إِنَّ عِدَّةَ ٱلشُّهُورِ عِندَ ٱللَّهِ ٱثۡنَا عَشَرَ شَهۡرٗا فِي كِتَٰبِ ٱللَّهِ يَوۡمَ خَلَقَ ٱلسَّمَٰوَٰتِ وَٱلۡأَرۡضَ مِنۡهَآ أَرۡبَعَةٌ حُرُمٞۚ ذَٰلِكَ ٱلدِّينُ ٱلۡقَيِّمُۚ فَلَا تَظۡلِمُواْ فِيهِنَّ أَنفُسَكُمۡۚ وَقَٰتِلُواْ ٱلۡمُشۡرِكِينَ كَآفَّةٗ كَمَا يُقَٰتِلُونَكُمۡ كَآفَّةٗۚ وَٱعۡلَمُوٓاْ أَنَّ ٱللَّهَ مَعَ ٱلۡمُتَّقِينَ
実に、アッラー*が諸天と大地を創造された日、アッラー*の書[1]でのアッラー*(の裁定)における月数は、十二か月である。その内の四ヶ月が神聖月*。それが正しい宗教なのだ。ならば、そこにおいて自分たちに不正*を働いてはならない[2]。また、シルク*の徒と全面的に戦え、彼らがあなた方と全面的に戦うように[3]。そしてアッラー*は敬虔な*者たちと共にあるということを、知るのだ。
[1] ここでの「アッラーの書」とは、守られし碑板*のこと(ムヤッサル192頁参照)。 [2] 神聖月における不正は、それ以外の月よりも大きな罪となることを示しており、神聖月以外でも不正は禁じられている(前掲書、同頁参照)。 [3] この「シルク*の徒」は、アーヤ*2,5で言及されている期限が終了したシルク*の徒のこととされる(アル=ジャザーイリー2:366参照)。イスラーム*は、(その宗教を問わず、)協約を結んでいる者・安全の保障を与えている者(アーヤ*6の訳注も参照)の殺害を、厳しく禁じている(アル=ブハーリー3166参照)。また、戦闘状態にある非ムスリム*との戦いにおいては、まずイスラーム*へと招き、それを受容しなければシズヤ*の支払いを呼びかけ、彼らがそれらを全て拒んで初めて、攻撃が許される。また戦闘においても、女性、子供、老人、修道僧のほか、戦闘員ではない農民、使節などを殺害することは禁じられる(クウェイト法学大全16:143、148-149参照)。
37 - At-Tawbah (The Repentance) - 037
إِنَّمَا ٱلنَّسِيٓءُ زِيَادَةٞ فِي ٱلۡكُفۡرِۖ يُضَلُّ بِهِ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْ يُحِلُّونَهُۥ عَامٗا وَيُحَرِّمُونَهُۥ عَامٗا لِّيُوَاطِـُٔواْ عِدَّةَ مَا حَرَّمَ ٱللَّهُ فَيُحِلُّواْ مَا حَرَّمَ ٱللَّهُۚ زُيِّنَ لَهُمۡ سُوٓءُ أَعۡمَٰلِهِمۡۗ وَٱللَّهُ لَا يَهۡدِي ٱلۡقَوۡمَ ٱلۡكَٰفِرِينَ
実に(神聖月*の)延期は、不信仰における(更なる)上乗せである。不信仰に陥った者*たちは、それによって迷わせられているのだ。彼らはアッラー*が禁じられた(神聖月*の)数に帳尻合わせして、ある年にはそれを合法とし、また別の年にはそれを禁じ、アッラー*の禁じられたものを合法としている[1]。彼らにはその悪い行いが、目映く映ったのだ。アッラー*は、不信仰である民をお導きにはならない[2]。
[1] ジャーヒリーヤ*のアラブ人たちには、アッラー*によって定められた四つの神聖月*を守らず、戦争などの自分たちの都合に合わせ、ある神聖月*を遅らせたり早めたりし、その分を本来神聖月*でない月にあてがうという習慣があった(ムヤッサル193頁参照)。 [2] つまり不信仰に固執(こしつ)し、それをやめようとしない者は、真に求められるべき目的へと導かれることはない、の意味(アッ=シャウカーニ2:514参照)。
38 - At-Tawbah (The Repentance) - 038
يَـٰٓأَيُّهَا ٱلَّذِينَ ءَامَنُواْ مَا لَكُمۡ إِذَا قِيلَ لَكُمُ ٱنفِرُواْ فِي سَبِيلِ ٱللَّهِ ٱثَّاقَلۡتُمۡ إِلَى ٱلۡأَرۡضِۚ أَرَضِيتُم بِٱلۡحَيَوٰةِ ٱلدُّنۡيَا مِنَ ٱلۡأٓخِرَةِۚ فَمَا مَتَٰعُ ٱلۡحَيَوٰةِ ٱلدُّنۡيَا فِي ٱلۡأٓخِرَةِ إِلَّا قَلِيلٌ
信仰する者たちよ、あなた方に「アッラー*の道に出征せよ」と言われた後、(自分たちの)土地に(へばりついて)もたもたしたのはどういうことか?一体、あなた方は来世をよそに、現世の生活に満足しているというのか?現世の生活の楽しみなど、来世(との比較)においては、ごく僅かな物でしかないのだぞ。[1]
[1] このアーヤ*は、タブークの戦い*への出征に関して下った。当時、人々は苦境にあった上、暑さが厳しく、果実が実る時節にあった。しかもタブークはとても遠い土地で、敵の数も多かったため、人々は出征に億劫(おっくう)になったのだという(アル=バガウィー2:348参照)。
39 - At-Tawbah (The Repentance) - 039
إِلَّا تَنفِرُواْ يُعَذِّبۡكُمۡ عَذَابًا أَلِيمٗا وَيَسۡتَبۡدِلۡ قَوۡمًا غَيۡرَكُمۡ وَلَا تَضُرُّوهُ شَيۡـٔٗاۗ وَٱللَّهُ عَلَىٰ كُلِّ شَيۡءٖ قَدِيرٌ
(信仰者たちよ、)もし出征しないのであれば、かれ(アッラー*)はあなた方を痛ましい懲罰で罰され、あなた方以外の(アッラー*とその使徒*に従順な)民を代わりに置かれよう。あなた方がかれのことを害することなど、微塵もない。アッラー*は全てのことがお出来のお方。
40 - At-Tawbah (The Repentance) - 040
إِلَّا تَنصُرُوهُ فَقَدۡ نَصَرَهُ ٱللَّهُ إِذۡ أَخۡرَجَهُ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْ ثَانِيَ ٱثۡنَيۡنِ إِذۡ هُمَا فِي ٱلۡغَارِ إِذۡ يَقُولُ لِصَٰحِبِهِۦ لَا تَحۡزَنۡ إِنَّ ٱللَّهَ مَعَنَاۖ فَأَنزَلَ ٱللَّهُ سَكِينَتَهُۥ عَلَيۡهِ وَأَيَّدَهُۥ بِجُنُودٖ لَّمۡ تَرَوۡهَا وَجَعَلَ كَلِمَةَ ٱلَّذِينَ كَفَرُواْ ٱلسُّفۡلَىٰۗ وَكَلِمَةُ ٱللَّهِ هِيَ ٱلۡعُلۡيَاۗ وَٱللَّهُ عَزِيزٌ حَكِيمٌ
たとえ、あなた方が彼(ムハンマド*)を援助しなくても、アッラー*は不信仰に陥った者*たちが、二人の内の一人だった彼を(マッカ*から)追放した時、確かに彼を援助されたのである。二人が洞窟の中にあった時、つまり彼(ムハンマド*)がその同伴者に「悲しむのではない。本当にアッラー*は私たちと共にあるのだから」と言った時。アッラー*は彼にその静寂をお下しになり、あなた方の目に見えない(天使*の)軍勢によって彼をお助けになり、不信仰に陥った者*たちの言葉を最下のものとされた[1]。アッラー*の御言葉こそは最上のものなのだ[2]。アッラー*は偉力ならびない*お方、英知あふれる*お方。
[1] ここで描写されているのは、預言者*ムハンマド*と教友*アブー・バクルの二人が、マディーナ*への移住*のためにマッカ*を出発した時の出来事。彼らは追っ手を撒(ま)くため、マッカ*郊外のサウル洞窟に一時身を隠したが、追っ手の足はその間近にまで迫った。アブー・バクルは預言者*がそこで捕まってしまうことを恐れたが、預言者*の彼に対する慰(なぐさ)めの言葉通り、アッラー*は彼らをお守りになった。このようにアッラー*は、預言者*にただ一人の同伴者しかいなかった時にも、彼をお助けになった。だから今や、一部の者が出征に応じなかったとしても、アッラー*によって彼が援助されることは容易なのである(アッ=タバリー5:3998参照)。 [2] 「不信仰に陥った者*たちの言葉」とは、シルク*の言葉。それは制圧され、蔑(さげす)まされるものであることから、「最下」とされる。また「アッラー*の御言葉」とは、タウヒード*の言葉、シャハーダ*の言葉。シルク*とその民を制することから、「最上」と表されている(前掲書5:4000参照)。
41 - At-Tawbah (The Repentance) - 041
ٱنفِرُواْ خِفَافٗا وَثِقَالٗا وَجَٰهِدُواْ بِأَمۡوَٰلِكُمۡ وَأَنفُسِكُمۡ فِي سَبِيلِ ٱللَّهِۚ ذَٰلِكُمۡ خَيۡرٞ لَّكُمۡ إِن كُنتُمۡ تَعۡلَمُونَ
軽かろうと、重かろうと[1]、出征し、あなた方の財産と生命をかけて、アッラー*の道において努力奮闘せよ。それがあなた方にとって、より善いことなのである。もし、あなた方が(その徳と褒美を)知っていたのならば。
[1] 「軽かろうと、重かろうと」の解釈には、「分散して、または軍隊で」「元気があっても、なくても」「貧しくても、豊かでも」「若くても、年寄りでも」「扶養すべき者がなくても、あっても」などの諸説がある(アル=クルトゥビー8:150参照)。
42 - At-Tawbah (The Repentance) - 042
لَوۡ كَانَ عَرَضٗا قَرِيبٗا وَسَفَرٗا قَاصِدٗا لَّٱتَّبَعُوكَ وَلَٰكِنۢ بَعُدَتۡ عَلَيۡهِمُ ٱلشُّقَّةُۚ وَسَيَحۡلِفُونَ بِٱللَّهِ لَوِ ٱسۡتَطَعۡنَا لَخَرَجۡنَا مَعَكُمۡ يُهۡلِكُونَ أَنفُسَهُمۡ وَٱللَّهُ يَعۡلَمُ إِنَّهُمۡ لَكَٰذِبُونَ
(預言者*よ、)もしそれが手近な利益だったり、適度な(距離の)旅[1]だったなら、彼ら(偽信者*たち)はあなたについて行ったのであろう。だが彼らには距離が遠かった(ために、厳しく感じられた)のである。そして彼らは、アッラー*に誓(ってこう言)う。「出来るものなら、私たちはあなた方と共に出発したのだが」。彼らは(嘘と偽の信仰で、)自分自身を滅ぼしている。アッラー*は本当に彼らが、まさしく嘘つきであることをご存知なのだ。
[1] タブークの戦い*の出征にまつわる状況については、アーヤ*38の訳注を参照。
43 - At-Tawbah (The Repentance) - 043
عَفَا ٱللَّهُ عَنكَ لِمَ أَذِنتَ لَهُمۡ حَتَّىٰ يَتَبَيَّنَ لَكَ ٱلَّذِينَ صَدَقُواْ وَتَعۡلَمَ ٱلۡكَٰذِبِينَ
(預言者*よ、)アッラー*はあなたを大目に見られた。(言い訳をして出征しなかった者の内、その言い訳において)正直だった者たちがあなたに明らかになり、あなたが(彼らの内の)嘘つきどもを知る前に、彼らに(出征の免除を)許可するとはどういうことか?[1]
[1] 使徒*・預言者*の無謬(むびゅう)性については、雌牛章36の訳注を参照。
44 - At-Tawbah (The Repentance) - 044
لَا يَسۡتَـٔۡذِنُكَ ٱلَّذِينَ يُؤۡمِنُونَ بِٱللَّهِ وَٱلۡيَوۡمِ ٱلۡأٓخِرِ أَن يُجَٰهِدُواْ بِأَمۡوَٰلِهِمۡ وَأَنفُسِهِمۡۗ وَٱللَّهُ عَلِيمُۢ بِٱلۡمُتَّقِينَ
アッラー*と最後の日*を信じる者は、自らの財産と生命をかけて努力奮闘することにおいて、あなたに(嘘の言い訳をしつつ、出征免除の)許可を請うたりはしない。アッラー*は敬虔な*者たちを、ご存知のお方。
45 - At-Tawbah (The Repentance) - 045
إِنَّمَا يَسۡتَـٔۡذِنُكَ ٱلَّذِينَ لَا يُؤۡمِنُونَ بِٱللَّهِ وَٱلۡيَوۡمِ ٱلۡأٓخِرِ وَٱرۡتَابَتۡ قُلُوبُهُمۡ فَهُمۡ فِي رَيۡبِهِمۡ يَتَرَدَّدُونَ
実にあなたに(嘘の言い訳をして、出征免除の)許可を請うのは、アッラー*と最後の日*を信じず、その心が(イスラーム*に対する)疑惑に満ちた者たちだけである。そして彼らは自らの疑惑の中で、右往左往しているのだ。
46 - At-Tawbah (The Repentance) - 046
۞وَلَوۡ أَرَادُواْ ٱلۡخُرُوجَ لَأَعَدُّواْ لَهُۥ عُدَّةٗ وَلَٰكِن كَرِهَ ٱللَّهُ ٱنۢبِعَاثَهُمۡ فَثَبَّطَهُمۡ وَقِيلَ ٱقۡعُدُواْ مَعَ ٱلۡقَٰعِدِينَ
もし彼ら(偽信者*たち)が出発を望んだなら、そのために装備を整えただろう。しかしアッラー*は彼らの遠征を厭われ、彼らを億劫にさせられたのだ。そして彼らに、「居残る者たち[1]と共に、残っていよ」と言われた[2]のである。
[1] ここでの「居残る者たち」とは女性など、イスラーム*法的に正当な理由から、出征を免除された者たちのこと(アッ=サァディー339 頁参照)。 [2] この言葉の主には、「シャイターン*」「彼ら(偽信者*たち)自身」「預言者*」「アッラー*」といった解釈がある(アッ=シャウカーニー2:522参照)。
47 - At-Tawbah (The Repentance) - 047
لَوۡ خَرَجُواْ فِيكُم مَّا زَادُوكُمۡ إِلَّا خَبَالٗا وَلَأَوۡضَعُواْ خِلَٰلَكُمۡ يَبۡغُونَكُمُ ٱلۡفِتۡنَةَ وَفِيكُمۡ سَمَّـٰعُونَ لَهُمۡۗ وَٱللَّهُ عَلِيمُۢ بِٱلظَّـٰلِمِينَ
たとえあなた方と共に出発したとしても、彼ら(偽信者*たち)はあなた方に堕落しか上乗せせず、あなた方に誘惑[1]を望みつつ、あなた方の間を奔走する[2]ーー(信仰者たちよ、)あなた方の中には彼らのスパイもいるのだーー。アッラー*は、不正*者たちのことをご存知のお方。
[1] この「誘惑」の解釈には、「敵軍の強大さ をほのめかして士気を下げること」「困難や悪事」「シルク*」といった説がある(アル=バガウィー2:355参照)。 [2] 具体的には、信仰者の間にお互いに対する憎悪を生じさせるべく、陰口や悪口などを広めたりすること(ムヤッサル194頁参照)。
48 - At-Tawbah (The Repentance) - 048
لَقَدِ ٱبۡتَغَوُاْ ٱلۡفِتۡنَةَ مِن قَبۡلُ وَقَلَّبُواْ لَكَ ٱلۡأُمُورَ حَتَّىٰ جَآءَ ٱلۡحَقُّ وَظَهَرَ أَمۡرُ ٱللَّهِ وَهُمۡ كَٰرِهُونَ
(預言者*よ、タブークの戦い*)以前から、彼ら(偽信者*たち)は確かに(信仰者たちへの)誘惑[1]を望み、あなたに対して策を練り上げて来た。(それは)真理が到来し、アッラー*の物事[2]が顕現するまでのことだった。彼らはそれを嫌っていたのだが。
[1] それまでにも偽信者*たちは、ウフドの戦い*や部族連合の戦い*などで、預言者*がもたらした教えを滅ぼそうと、策略を練ってきたものだった(前掲書195頁参照)。 [2] 「真理」とはアッラー*からの勝利で、かれの「物事」とは、イスラーム*のこととされる(アッ=タバリー5:4010参照)。
49 - At-Tawbah (The Repentance) - 049
وَمِنۡهُم مَّن يَقُولُ ٱئۡذَن لِّي وَلَا تَفۡتِنِّيٓۚ أَلَا فِي ٱلۡفِتۡنَةِ سَقَطُواْۗ وَإِنَّ جَهَنَّمَ لَمُحِيطَةُۢ بِٱلۡكَٰفِرِينَ
また、彼ら(偽信者*たち)の内には、「私に(出征からの残留を)お許し下さい。そして、私のことを試練にかけないで下さい」と言う者もいる。彼らはまさに、(偽の信仰という)試練の中に陥ったのではないか。そして本当に地獄は、不信仰者*たちをまさに包囲している。[1]
[1] このアーヤ*は、自分は女性に目がなく、ローマ人女性を見たらその虜(とりこ)になってしまうのを恐れる、と嘘の言い訳をし、タブークの戦い*に出征しなかった者に関して下ったとされる(アッ=タバリー5:4012参照)。
50 - At-Tawbah (The Repentance) - 050
إِن تُصِبۡكَ حَسَنَةٞ تَسُؤۡهُمۡۖ وَإِن تُصِبۡكَ مُصِيبَةٞ يَقُولُواْ قَدۡ أَخَذۡنَآ أَمۡرَنَا مِن قَبۡلُ وَيَتَوَلَّواْ وَّهُمۡ فَرِحُونَ
(預言者*よ、)もしあなたに善いことが起これば、それは彼ら(偽信者*たち)を消沈させる。そしてもしあなたに災厄が降りかかれば、彼らは「私たちは確かに前もって、大事を取っておいたのだ[1]」と言い、有頂天になって(あなたから)背き去る。
[1] 「大事を取っておいて」とは、ムスリム*軍の敗北と苦難を予期して、タブークに出征しなかったことを指す(ムヤッサル195頁参照)。
51 - At-Tawbah (The Repentance) - 051
قُل لَّن يُصِيبَنَآ إِلَّا مَا كَتَبَ ٱللَّهُ لَنَا هُوَ مَوۡلَىٰنَاۚ وَعَلَى ٱللَّهِ فَلۡيَتَوَكَّلِ ٱلۡمُؤۡمِنُونَ
(預言者*よ、彼らに)言ってやるがよい。「私たちには、アッラー*が私たちにお定めになったことしか起こらないーーかれは私たちの庇護者*であるーー。そして信仰者たちには、アッラー*にこそ全てを委ね*させるのだ」。
52 - At-Tawbah (The Repentance) - 052
قُلۡ هَلۡ تَرَبَّصُونَ بِنَآ إِلَّآ إِحۡدَى ٱلۡحُسۡنَيَيۡنِۖ وَنَحۡنُ نَتَرَبَّصُ بِكُمۡ أَن يُصِيبَكُمُ ٱللَّهُ بِعَذَابٖ مِّنۡ عِندِهِۦٓ أَوۡ بِأَيۡدِينَاۖ فَتَرَبَّصُوٓاْ إِنَّا مَعَكُم مُّتَرَبِّصُونَ
(預言者*よ、彼らに)言うのだ。「あなた方は私たちに、二つの善きこと[1]のいずれかを待ち望んでいるに外ならないのではないか?そして私たちはあなた方に、アッラー*がその御許からの懲罰によって、あるいは私たちの手(による成敗)によって、あなた方を襲われるのを待ち望んでいるのである。ならば、待ち望むがよい。本当に私たちも、あなた方と共に待ち望む者となるから」。
[1] 「二つの善きこと」とは、①敵への勝利と、現世と来世における褒美、②殉教(じゅんきょう)と、その偉大なる地位のこと(アッ=サァディー339頁参照)。
53 - At-Tawbah (The Repentance) - 053
قُلۡ أَنفِقُواْ طَوۡعًا أَوۡ كَرۡهٗا لَّن يُتَقَبَّلَ مِنكُمۡ إِنَّكُمۡ كُنتُمۡ قَوۡمٗا فَٰسِقِينَ
(預言者*よ、偽信者*たちに)言ってやるのだ。「従順であれ、嫌々であれ、施すがよい。あなた方から(アッラー*に)受け入れられることなど、ないのだ。本当にあなた方は、放逸な民だったのだから」。
54 - At-Tawbah (The Repentance) - 054
وَمَا مَنَعَهُمۡ أَن تُقۡبَلَ مِنۡهُمۡ نَفَقَٰتُهُمۡ إِلَّآ أَنَّهُمۡ كَفَرُواْ بِٱللَّهِ وَبِرَسُولِهِۦ وَلَا يَأۡتُونَ ٱلصَّلَوٰةَ إِلَّا وَهُمۡ كُسَالَىٰ وَلَا يُنفِقُونَ إِلَّا وَهُمۡ كَٰرِهُونَ
また、彼らの施しが、受け入れられることを彼らから阻んだのは、彼らがアッラー*とその使徒*を否定し、礼拝にはいつも面倒くさそうに顔を出し、嫌々にでしか施すことがないからに外ならない。
55 - At-Tawbah (The Repentance) - 055
فَلَا تُعۡجِبۡكَ أَمۡوَٰلُهُمۡ وَلَآ أَوۡلَٰدُهُمۡۚ إِنَّمَا يُرِيدُ ٱللَّهُ لِيُعَذِّبَهُم بِهَا فِي ٱلۡحَيَوٰةِ ٱلدُّنۡيَا وَتَزۡهَقَ أَنفُسُهُمۡ وَهُمۡ كَٰفِرُونَ
ならば、(預言者*よ、われら*が彼らに与えた)その財産や子供に、心引かれてはならない。アッラー*はそれらによって、現世の生活で彼らを罰せられ[1]、彼らが不信仰者*として事切れることを、まさにお望みなのだから。
[1] つまり、それらをアッラー*の御許での褒美(ほうび)を得るための手段としないため、それらの獲得における消耗(しょうもう)や、そこにおける損失ゆえに「罰せられ」ること(ムヤッサル196頁参照)。戦利品*章28の訳注も参照。
56 - At-Tawbah (The Repentance) - 056
وَيَحۡلِفُونَ بِٱللَّهِ إِنَّهُمۡ لَمِنكُمۡ وَمَا هُم مِّنكُمۡ وَلَٰكِنَّهُمۡ قَوۡمٞ يَفۡرَقُونَ
また彼ら(偽信者*たち)は、あなた方の仲間ではないのに、本当に自分たちはまさしくあなた方の仲間である、と(嘘をついて)アッラー*に誓う。しかし彼らは、怖気づいている民なので(、そのようにするので)ある。
57 - At-Tawbah (The Repentance) - 057
لَوۡ يَجِدُونَ مَلۡجَـًٔا أَوۡ مَغَٰرَٰتٍ أَوۡ مُدَّخَلٗا لَّوَلَّوۡاْ إِلَيۡهِ وَهُمۡ يَجۡمَحُونَ
もし避難所や洞窟、穴でも見つければ、彼らは一目散に、そこへと退散するであろう。
58 - At-Tawbah (The Repentance) - 058
وَمِنۡهُم مَّن يَلۡمِزُكَ فِي ٱلصَّدَقَٰتِ فَإِنۡ أُعۡطُواْ مِنۡهَا رَضُواْ وَإِن لَّمۡ يُعۡطَوۡاْ مِنۡهَآ إِذَا هُمۡ يَسۡخَطُونَ
また、彼ら(偽信者*たち)の中には、施しのことであなたをけなす者もいる。それで彼らは、そこから与えられれば満足し、そこから与えられなければ、どうであろうか、激怒するのである。[1]
[1] このアーヤ*は、預言者*ムハンマド*のもとに集められた施しを分配している時、ある男が「公正に分配せよ」と言いがかりをつけたことに関して下ったとされる(アル=ブハーリー3610参照)。
59 - At-Tawbah (The Repentance) - 059
وَلَوۡ أَنَّهُمۡ رَضُواْ مَآ ءَاتَىٰهُمُ ٱللَّهُ وَرَسُولُهُۥ وَقَالُواْ حَسۡبُنَا ٱللَّهُ سَيُؤۡتِينَا ٱللَّهُ مِن فَضۡلِهِۦ وَرَسُولُهُۥٓ إِنَّآ إِلَى ٱللَّهِ رَٰغِبُونَ
もし彼らが、アッラー*とその使徒*が自分たちに与えてくれたものに満足し、「私たちにはアッラー*だけで十分。アッラー*はその恩寵によって、そしてその使徒*も(彼がアッラー*から授かったものから)、私たちにお授け下さるだろう。本当に私たちは、アッラー*にこそ(豊かさを)求める者なのだから」(と言えばよかったものを)。
60 - At-Tawbah (The Repentance) - 060
۞إِنَّمَا ٱلصَّدَقَٰتُ لِلۡفُقَرَآءِ وَٱلۡمَسَٰكِينِ وَٱلۡعَٰمِلِينَ عَلَيۡهَا وَٱلۡمُؤَلَّفَةِ قُلُوبُهُمۡ وَفِي ٱلرِّقَابِ وَٱلۡغَٰرِمِينَ وَفِي سَبِيلِ ٱللَّهِ وَٱبۡنِ ٱلسَّبِيلِۖ فَرِيضَةٗ مِّنَ ٱللَّهِۗ وَٱللَّهُ عَلِيمٌ حَكِيمٞ
(義務の)浄財*は、困窮者*、貧者*、それ(浄財*の徴収)に携わる者、(それを与えられることによって)心が融和される者[1]、首[2]、借金している者[3]、アッラー*の道(ゆえに努力奮闘する者)、旅路(で苦境)にある者のためにのみ(与えられる)。(それは)アッラー*からの義務(として定められた)。アッラー*は全知者、英知あふれる*お方であられる。
[1] 「心が融和される者」とは、浄財*の受給によってイスラーム*への改宗や信仰心の強化が望まれる者や、それによってムスリム*の利益や害悪の防止につながること、とされる(ムヤッサル196 頁参照)。 [2] 「首」については、雌牛章177の訳注を参照。 [3] 借金があるが、返済できない者のこと。尚、不適切なことにおいて借金した者については、悔悟するまで浄財を受給する資格はない(アル=クルトゥビー8:183参照)。
61 - At-Tawbah (The Repentance) - 061
وَمِنۡهُمُ ٱلَّذِينَ يُؤۡذُونَ ٱلنَّبِيَّ وَيَقُولُونَ هُوَ أُذُنٞۚ قُلۡ أُذُنُ خَيۡرٖ لَّكُمۡ يُؤۡمِنُ بِٱللَّهِ وَيُؤۡمِنُ لِلۡمُؤۡمِنِينَ وَرَحۡمَةٞ لِّلَّذِينَ ءَامَنُواْ مِنكُمۡۚ وَٱلَّذِينَ يُؤۡذُونَ رَسُولَ ٱللَّهِ لَهُمۡ عَذَابٌ أَلِيمٞ
また、彼ら(偽信者*たち)の中には預言者*を害し、「奴は耳なのだ[1]」と言う者がある。(預言者*よ、)言ってやるのだ。「(ムハンマド*は)あなた方への善の耳なのである[2]。彼はアッラー*を信じ、信仰者たち(の言うこと)を信じる。また(彼は)、あなた方の内の信仰する者たちへの慈悲なのだ。そしてアッラー*の使徒*を害する者たち、彼らには痛ましい懲罰がある」。
[1] 何を言っても鵜呑(うの)みにする、という蔑(さげす)みの言葉(ムヤッサル196頁参照)。 [2] 善いことのみを聞き入れる耳である、ということ(ムヤッサル196頁参照)。あるいは、「正直者と嘘つきを聞き分ける耳」(イブン・カスィール4:170参照)。
62 - At-Tawbah (The Repentance) - 062
يَحۡلِفُونَ بِٱللَّهِ لَكُمۡ لِيُرۡضُوكُمۡ وَٱللَّهُ وَرَسُولُهُۥٓ أَحَقُّ أَن يُرۡضُوهُ إِن كَانُواْ مُؤۡمِنِينَ
彼ら(偽信者*たち)は、あなた方(信仰者たち)を満足させようとし、あなた方のためにアッラー*に(嘘の誓いを)誓う。アッラー*とその使徒*の方が、満足させるにより相応しいというのに。もし彼らが、(本当に)信仰者であるというのならば。
63 - At-